わきが甘いゾ、国税庁サイト HPのアドレスが「誤」表記−−専門家が指摘

2000.02.05 東京夕刊 8頁 社会 (全919字) 


 ◇官庁「go」なのになぜか民間アドレス「co」ハッカー対策専門家が指摘

 国税庁のホームページにリンクされた地方国税局などのホームページのアドレスが“誤った”表記になっていることが分かった。行政機関の「ドメイン・アドレス」(ネット上の住所)は、政府を表すgovernmentのgoと日本を示すjpを組み合わせgo.jpと表記する。しかし、これらのページは、民間企業を示すco.jpなどが使われていた。専門家らは「このいいかげんさが、ハッカーに狙われる遠因になっている」と指摘している。【安達一成】

 インターネットをめぐっては、いくつかの世界的な取り決めがある。このうち、ドメイン・ネームは「コンピューター名、組織名、所属機関の性格、国籍」から構成されている。毎日新聞(www.mainichi.co.jp)の場合、wwwがホスト名、mainichiが新聞社名、coが民間企業(company)を示し、jpは所在地が日本であることを表している。

 ところが、同庁のホームページにリンクしている札幌国税局や高松国税局は民間企業を表すco.jpで表記されているほか、大阪、広島、熊本の各国税局はサーバー業者などの特定の組織が使うor.jpとなっている。残る六つの国税局や国税庁醸造研究所や国税不服審判所はgo.jpを使っている。

 1997年1月に開設され、98年度の利用件数が368万件(アクセスは109万件)、対前年比239%の大幅な伸びを見せている「タックスアンサー」のページはor.jp。管理する国税庁税務相談官室では「当時は、少しでも早くインターネットで情報提供をしようと考えていたので、独自のドメインを取らないまま立ち上げてしまった。ただ、このアドレスが定着してしまった今となっては、変更するのもどうかと思う」と当面は“誤”表記を続ける方針だ。

 慶応大学環境情報学部の武藤佳恭(たけふじよしやす)教授は「『税』のページがこんな状態だとは情けない。税についても、ネット社会についても、認識がおざなりだと言わざるを得ない。業者に作らせたものをそのまま使っているのだろうが、そのような考えが一連のホームページ書き換えを招いた最大の原因だ」と批判している。

毎日新聞社